1.絶國TEMPES
作詞:宝野アリカ
作曲:片倉三起也
轟け 雲を裂いて
耀け 嘆きのテンペスト
この世をただ照らすのは
雷神撃つ光の矢
闇は頽れて重なり合う
月を犯しながら
幾万の夜が過ぎ
王の裳裾はわれを抱かん
人が生まれながら
抱えた罪は十
勾玉に繋げこの首飾る
われは視よう
来る未來(とき)を
水晶の眼癈(し)いても
舞い散れ 死せる星辰(ほし)よ
こぼれる 嵐ケ丘に
吹きすさぶ風を超えて
わが魂(こころ)を運びたまえ
轟け 空を裂いて
乱れよ 怒りのテンペスト
地上をはや嘗めるのは
鬼神が曳く焔影
滅亡の緋い陽炎立ち
胸を卍に切り
薔薇の根を植えん
たれを戀うると望むのなら
棘に絡められ
手も足も磔く
なおも生きんと血潮巡るごと
われは眠る
来る夢に
いつか君に逢わんと
さざめく 銀の雨よ
この身を 嵐ケ淵へ
砕かれる波の間に間
わが叫びを沈めたまえ
轟け 穹窿突き
輝け 祈りのテンペスト
地上満つる清らかに
龍神吐く流涎の
天を映して水鏡揺れ
舞い飛べ 生きる星辰よ
こぼれる 嵐ケ丘に
吹きすさぶ風を超えて
わが魂を運びたまえ
轟け 雲を裂いて
耀け 嘆きのテンペスト
この世をいま照らすのは
雷神撃つ光の矢
闇は美しく雪崩るだろう
2.髑髏ヶ城の巫女達は永遠に現世の夢を見る
作詞:宝野アリカ
作曲:片倉三起也
遙か昔
わたしたちが
緋色の翼に抱かれていた
其の記憶
繭に動く蚕のように
紡ぐ白日夢
絹の千早に包み
それは未來 祈り以て
暗黒も裂けるほどの
麗しき光景
闇の中か 光なのか
滅亡の影を導く
蹄の音は鳴り
転生せよ 民族の血
山を砕く 河のごとく
まだ間に合うだろう
終焉の宴には
日の出づる処に
こうしてまた生まれ
翔ぶ術を失くしても魂(こころ)は
尊き時へと舞い戻る
此処で知る生きることの神秘
其の共鳴
畏れなき明日の世など
在りはせぬと
天が穿つ 銀の奈落
月宮殿から届く
交情の矢文
独りでなく一つでない
なぜそれを忘れ
孤獨ばかり彩る都
穢れ受けぬ胸に沈む
誰を想う痛みの刀(けん)
捧げることだけが
この巫女の軍(いくさ)なり
日の沈む処に
生贄を埋めよう
白い指 朱い骨繋いで
羽撃く代わりにわたしたちを
共に持つ命の強かさ
其の儚さ
哀しみを塞ぐことが
できなくとも
日の出づる処に
こうしてまた死して
来る夢に帰っては見果てぬ
愛しい時へと舞い上がる
幾度見る生きることの豊饒
其の源
月を背に
聳え建つは髑髏ヶ城
畏れなき
人の世など在りはしない
3.平成日本残酷物語
作詞:宝野アリカ
作曲:片倉三起也
蓮の花のような手と手合わせて
印す傷を卍に重ねる
重み なんてものは
こうして感じるのさ
墨画の日々へと零したい色
誰かが持つ甘い蜜の無色
本当に欲しいものなんて
そんなもんさ
幾代の乱世を
超えた血の果て
生まれてしまった
万死の 一生
どこまでも侵略してやろう
攻め入ろうおまえに
緩慢な拷問で
牙を抜かれちまうよりも先に
昭和の詩人は唄ったろう
君死にたもうなかれ
そんな綺麗な
涙なんて受け取れない
銃口を天に向け無意味を計る
飛ばぬ鷹の羽の空しさで
青い空を汚してゆくのが青春
されたくないのだ
家畜のように
愚か を記す民
群の一人には
いくらでも略奪してやろう
ものにするおまえを
泥濘の寝台で
優しく去勢されちまう前に
かつて漢らは言っただろう
さあ撃ちてし止まんと
でも僕たちは
何を敵にすりゃいいんだろ
どこまでも侵略してやろう
討ち入ろう 時代 に
監獄の自由に
目眩ましされちまわないために
昭和の作家は書いただろう
復讐するは我と
だけど怒りを
持つのは神じゃなく己
持つのは神じゃない僕さ
4.巴里と画家と女
作詞:宝野アリカ
作曲:片倉三起也
陽のあふれるアトリエで
絵筆を取る 今日もまた
一日中何もかも忘れて
ただひとり
モンラパン 窓辺に
君が飾った雛芥子が揺れて
美しい街並み
見下ろす夕暮れを僕は愛する
仲間と集うカフェ
喧噪と笑い声に満たされる
なのになぜ思い出すのか
捨てた故郷(まち)を
逃げるように 背を向けた
いまは遠い 異国の地
もうここでしか
描くことができない
目を閉じれば 見えるんだ
罪などない 人たちが
僕の名を呼びつづけているずっと
君のように
モナムール あなたの
夜空色した瞳が好きなの
静かなノワール
暗いカンヴァスに星が灯るわ
本当に描きたい風景は
心の奥に眠る
あなたもきっと
わかっているはずでしょう
悲しみなど そこにない
過ぎたものの 優しさが
光混ぜた絵の具の
色になる
ああわたしは旅をする
見たことない異国の地
少年のあなたが遊んでいる
ほほえんで
哀しみはもう そこにない
過ぎた日々の 懐かしさ
どこにいても
僕を包んでいる
ねえわたしを 連れてって
もし許してくれるなら
そっと芽生えたこの命を抱き
愛しい人の国(ふるさと)へ
5.SENGOKU GIRL
作詞:宝野アリカ
作曲:片倉三起也
行ケド戻レドサア通リヤンセ
巡リ巡ツテモ蟻地獄
白衣ノ曝ニ滲ンダ血ノ地図
タドツテアナタノ弱味ニ付ケ込ミタイ
ウロコノ鎧ヲ百片剥ガシテ
緑青ノ花デ散華シテ参ロウ
恋ニ忠義ヲ誓イ
裏切リニハ切腹
昇リツメテ下剋上
ワタシハモウ断絶
悲劇メイテ姫君乱心
逃ゲ込ム廊下ニ影曳ク血天井
ココナラ同ジ悪夢ガ滴ルワ
愛トハ戦デ勝ツテモ負ケテモ
フタリハ独リト独リデシカナイノ
恋ノ制裁受ケテ
苦シミニハ介錯
寝テモ覚メテモ乱世
アナタハモウ失脚
紅蓮ハナツ黒天守閣
イツペン死ンデクダサル
愛トハ戦デ
生キテモ死ンデモ
ドンナニ刺シテモ
コンナニ突イテモ
虫ノ息デモマダ責メタリナイデシヨ
恋ノ合ワセ銅鏡ガ
映シダスハ神獣
持チツ持タレツ浄土
アナタトナラ心中
晴レテ冥土ヘ夫婦道中
モイツペン死ンデクダサル
逝ケド戻レドマダ通リヤンセ
巡リ巡ツテモ蟻地獄
6.四神獸飼殺し
泣けばいい鸣くがいい
伤负う白虎となり
溢れる血 尝めとれば
西の空に垂れる夕星
眼に映った世界が全てと
匣庭で讴う爱の寒さ
革底の足は土に触れたかい
汚れぬ体はどこに流れつく
今日を屠る
明日を杀す
君を见失う
まだ二人
出逢ってもないというのにね
笑えばいい嗤うがいい
甲罗巻く玄武のように
捩る蛇腹 黒々と
そんな奴も素敌かもね
右や左のアァ旦那様
銭で买えますか
身の程知らぬゆえに
望むものみな手に入れます
谁もが抱える暗という魔物
月影の鞘に封じ込めれば
见たことない幻覚
鲜やかに磨がれ
恐れるものなど目の前にはない
仆は个体
君は个别
违う场処を生き
つながっていたければ
共に羽をもげ
飞べばいい翔ぶがいい
炎の朱雀のように
交わった仆たちは
夜の果ての十字星だ
どこに堕ちても鬼の头上か
背を突き破る角
后ろ指さす人间の
爪よりいくらか温かい
泣きたけりゃ鸣くがいい
伤负う白虎のように
吹き出す血舐め取れば
东の空泳ぐ雷雨
怒りたきゃ怒ればいい
牙を剥く青龙のように
苍褪めた季节には
散らす葩の鳞もなく
日はまた升るまだただ升る
红の円阵
さあ仆の胸を狙え
此処は最后の
结界
爆心
7.鹿鳴館ブギウギ
作詞:寶野アリカ
作曲:片倉三起也
この手をさあ お取りあそばせ
共に滑り迂む
カドリ一ルは 黎明(よあけ)が來ても
終わることない
次々變わるお相手
目が迴りそうだわクラクラ
心移り幾度まで許されて?
祭り事は 夜每に練られる
深窗の懈怠の長椅子で
笑かせよ 大輪の菊を
民(ひと)の妒みを身に浴び
破滅を恐れるほど命短し
續けましょ ワルツは笑劇(ファルス)
お國育ちが顯著で
舶來のお衣裳の皆樣せめて
ご自分の御足で 踴りなさいませ
圓卓には 赤葡萄酒と禁斷の果實
誰も思う 明日のことなど
どうでもよいわ
こんなふうに優美な刻が
過ぎてくのなら安泰
すべてはわたくしたちだけの為に
政略も謀反も茶番劇
犬にでも 食わせてしまいましょ
あふれる 一輪に花弁
多情の相に身は浮き
止ん事無き生まれゆえ幸は輕し
反面なしでもマスカレイド
本音どこに隱しても
見え透いた世辭上手
あなたはどうぞ
ご自身の御言葉で
口說きあそばして
笑かせよ 大輪の菊を
民の憎しみ身に受け
華麗なる一族の命麗し
續けましょ ワルツは笑劇
お國訛りが顯著で
舶來の禮服の皆樣せめて
ご自分の御足で お立ちなさいまし
8.東方憧憬未見聞録
作詞:宝野アリカ
作曲:片倉三起也
理想の国はどこにある
日の出づる場処その果てに
静かに遙かに夢出づる
みんな探している
涙ひとつ落ちることない国
うるおう大地
そよぐは金の稲
極楽鳥の歌を聴いて
香焚き染めた絹震わせながら
梨花の髪に風は舞って
いち日が過ぎゆく
あしたも同じ
七つの海を行けど
けして追いつかない
逃げる蜃気楼
すべてが輝ける黄金の
都に棲むは優し人々
誰もが欲しがった幸福は
ぜんぶその島に
生まれていったから
競うように船は行く
われ先にと
みんな暮らしたい
争いなど起こることない国
よりそう太陽
みのるは金の実
奔馬は駆ける山河巡り
童たちは遊ぶ御伽のなかに
谷の底まで桃源郷
永遠は過ぎよう
真綿のごとく
東の空の彼方
それはまぼろしの楽園
ZIPANGU
原野は夢を見た 金色の
栄えし港 着くは帆船
異国の息吹浴び その島は
溢れる野望を
受け取ってしまった
足早に時は急き
色褪せる
理想の国はどこもない
悲しみの涙がないと
よろこびの花は開けない
すべてが輝いた黄金の
眠る都の照り射す瓦礫
誰もが欲しがった幸福は
ぜんぶその下に
埋もれたというから
地図もなく船は出る
今日もまた
9.平和の因子
作詞:寶野アリカ
作曲:片倉三起也
美し國には
深く埋もれて眠る
哀しみ
清き水受け
生まれ變わらん
小さき芽となり
何故ならわたしたちは命
このいま願うことが
平和の因子
山も大地も
街も營む日々も
未だ在り
そうしてわたしたちは心
いまこそ生きることが
平和の因子
10.この國よ靜かに目覺めたまえ
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